投資家にとって配当金より自社株買いが大事な理由


バフェットがオススメしている21冊の必読書の「破天荒な経営者たち」を読みました。
帯は「配当を出すな 自社株を買いまくれ」となっています。
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配当金に対する疑問

監修者のまえがきから、さっそく引用します。
私は長年運用の仕事をしてきて、企業の多くが配当を出すのを不思議に思ってきた。ほかの投資手段よりも収益率が高いと思うからこそ株を買っているのに、配当金が出るたびに再投資する手間も税金もかかるし、はなはだ迷惑である。経営者は資本を有望な事業に使ってカネを稼ぐのが仕事なのに、株主に現金をつき返してくるのは責任放棄ではないか?
配当再投資戦略をしている私にとって配当金のことを責任放棄という考えは頭にありませんでした。笑

たしかに配当金は税金がもったいないのは知っていました。
配当金は成熟企業が出すというイメージがありますが、バークシャー・ハサウェイなどのもう成熟してるんじゃないの?という企業でも配当金を出さない企業があります。

ということは成熟しているから配当金を出すというのは理由になりません。

ジャック・ウェルチを超える経営者たち

ジャック・ウェルチはGEの元CEOで、20世紀最高の経営者と呼ばれています。
彼がGEのCEOについた1981年にもし、GEに1ドル投資していれば、彼がCEOを務め終えた2001年には48ドルになっていました。これは年率20.9%のリターンという強烈な数字です。

しかし、本書では絶対に過去50年で最高の経営者ではないと言い切っています。
では、なぜジャック・ウェルチは一番ではないのか?

CEOの偉大さを数値化する方法

CEOの偉大さを数値化するために必要な数字は3つあります。
  1. 在任中の株価のリターン率(複利)
  2. 同じ期間の同業他社のリターン率
  3. S&P500のリターン率
ウェルチは年率リターンは約20%でしたが、同期間のS&P500の年率リターンは異常とも言える14%でした。

こうしてみるとジャック・ウェルチは優秀なCEOですが一番ではないということが見えてきます。

ヘンリー・シングルトン

ヘンリー・シングルトンは1960年代初めにテレダインという複合企業を設立し、歴史上もっとも優れたCEOとして本書で紹介されています。

ヘンリー・シングルトンは当時、
だれも行なっていないころから積極的に自社株買いをして結局90%以上を手に入れた。これによって配当をする必要がなくなり、報告利益よりもキャッシュフローを強化することができるようになった。

テレダインは1970年代と1980年代のNYSEで株価が最も高い銘柄でしたが、ヘンリー・シングルトンはけっして分割しませんでした。

当時の同業他社の年率リターンは平均11%程度でS&P500を少し上回る程度でした。
それに対してテレダインはヘンリー・シングルトンが経営していた30年間の年率リターンは20.4%(複利)でした。

彼がCEOを務めた1963年のテレダインに1ドルを投資していれば彼が引退した1990年には厳しい弱き相場だったにもかかわわらず、1ドルが180ドルに増えていました。

もし、この1ドルを他の複業企業に投資していれば27ドルでS&P500ならば15ドルでした。
S&P500の12倍という驚異的なリターンをヘンリー・シングルトンに投資してれば得ることができました。

シングルトンの成功の源は、テレダインが独自の急成長事業を持っていたことではない。彼とライバルたちとの違いは、資本の配分という重要だが多少謎めいた分野に精通していたことにある。資産配分とは、株主のリターンが最高になるように企業の資源を配分していくことである。

CEOとして成功するためにには?

CEOとして成功するためには2つのことをうまく必要があります。

  1. 事業を効率的に運営する
  2. そこで得た現金をうまく使うこと
ほとんどのCEOは1に注力していましたが、ヘンリー・シングルトンは2をより大事にしていました。

業績がまったく同じでも、資産配分が違うと株主の長期リターンはかなり違ってきます。
資産配分の重要性についてはトップクラスのビジネススクールでも教えていないことで、ウォーレン・バフェットも資産配分の重要性がわかっているCEOは少ないと言っています。

本書で紹介されているCEOたちがとくに深く理解していることとして7つのことを挙げています。


  • CEOの最も重要な仕事は資産配分
  • 長期的に重要なことは、全社的な成長や規模ではなく、1株当たりの価値
  • 長期的な価値を決めるのは、報告利益ではなくキャッシュフロー
  • 分権組織は企業家的なエネルギーを放出し、コストと「怨恨」を減らす
  • 長期的な成功には独自の考え方が不可欠で外部からの助言は気が散るし時間の無駄
  • 最高の投資先が自社株のこともある
  • 買収においては忍耐が肝心だが、ときには、大胆さも必要
さらに企業の規模拡大は株主の価値を最大化することとは、ほとんど関係ない。と紹介されています。

まとめ

本書ではヘンリー・シングルトンの他に7人の経営者を紹介しています。このブログでの紹介はヘンリー・シングルトンの紹介のみに留めておきます。

本書を読めばバフェットの考え方が少しはより深く知ることができると思います。
本書ではバフェットの話もよく出てくるからです。

読んでいて、私のような人間でも
「あ〜だからバフェットは〇〇に投資したのかなぁ」
とか思えることが本書を読んでいるとあります。

わかりやすい文章でとても読みやすい本ですしバフェットがおすすめした理由もわかります。

自社株買いのほうが株主には大きなリターンがあるというのを本書で知ることができます。

でも、私は配当もほしい!!

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